ORANGE SNOW

「何から話せばいいのか、わからない。
けれどはっきりと言えるのは、私はエルフではないってこと。

私はただの混じりもの。
人間からもエルフからも疎まれし、禁じられた存在。
ハーフエルフ」

小さな声ながらもはっきりとその場に響いたその言葉に、リヴィアスは驚き目を細め、他の4人も呆気にとられていた。
ハーフエルフとは、人間とエルフの間に生まれた子供の事だ。
エルフの半分の寿命だが人間の2倍の寿命を生き、見た目はエルフ相応、だが能力はエルフには劣る存在で、エルフと人間が愛し合うのは禁じられている為、ハーフエルフとその親は疎まれる。
それ故社会に現れる事もめったになく、どこかの森の奥で暮らしているという。
もし人前に現れても身分を隠す者しかおらず、もし身分を明かしでもしたらその場で人間やエルフに殺される。
リヴィアス達人間は、幼い頃は「混じりものに近づくな、その首とられるぞ」と言い聞かされ、ハーフエルフに近づく事は絶対のタブーにされているほどだった。

「ハーフ・・・・エルフですって・・・・ッ?」

震える声で呟いたセルリアの言葉に、スノウは頷く。

「とある森の奥にある集落で私達疎まれし存在が暮らしているのは知ってると思う。
私自身も、その集落で生まれ、暮らしてたの」

「・・・・それがなぜ、こんな町に?
しかも、あんな魔法具で操られる経緯になったの?」

さくらが問うと、遠い目をし、酷く悲しそうな表情をした。

「その集落では度々不思議な力を持った子供が生まれた。
例えば私の持つ、詠唱せずに魔法を繰り出せる、「属性」の力のような。
私の父はそれに非常に興味を持っていたわ。
父はエルフで、頭もすごくよかった。
この力がなんなのか、私と一緒に毎日研究した。

おかげでこの力がなんなのか結果にたどり着いた。
それと同時、父が変な事を言い出したの。
「これで人間とエルフに復讐をしよう」ってね。

私はそのとき冗談だと思って流したけど、父は本気だったの。
次の日、集落が人間に襲われた。
父が呼んだのよ。
そして人間と、どこかへ消えていったの、私を置いて」

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