ORANGE SNOW

「もうやめて、炎獄。
その傷でオレンジスノウを使ったら体が・・・!」

「うるさい霙!」

スノウのとめる声に怒鳴った炎獄は、まるで泣き叫ぶかのようだった。
剣を持った腕を無理やり振り上げ、蓮華ときらに振り下ろす。
だが傷だらけの腕ではうまく当てる事ができるわけもなく、二人がよけなくても剣がふらふらと力なく地面に突き刺さった。
その内、炎獄の体力も限界が近いのか、周りにあった炎がふっと消えた。
その様子を見たリヴィアスが、落ち着いてそっと口を開いた。

「温い炎だな、お前の炎は」

「・・・・は?」

ぜえぜえ、と息をする炎獄に、リヴィアスは近寄る。
がくっと地面に足とつき、その隙に蓮華ときらは炎獄から離れ、入れ替わりにそばに膝をついた。

「心が冷えてる奴の炎なんて、たかが知れてる温い炎。
なあ、お前は悲しくないか?
そんな細い体で人を殺して、人を突き放して。
そんなんじゃ段々炎は冷めてく」

「意味わかんない事を・・・ッ」


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