ORANGE SNOW
炎獄は息荒くも強くリヴィアスを睨みつけ、剣を支えに再び立ち上がった。
そして、リヴィアスがふっと気づくと、いつの間にか地面に倒れており、身体の上には炎獄が剣を向けてリヴィアスを押さえ込んでいた。
「リヴィアス!?」
「ちょ、ちょっと、やばいんじゃ・・・・」
さくらとセルリアが詠唱をしようと構えるが、それをスノウが首を振って止めた。
二人は異論を唱えようとしたが、スノウの表情を見て押し黙ってしまった。
「・・・・あの子を殺さないで」
気丈に振舞っていたが、その目からは今にも涙があふれそうになっていた。
あれ以上魔法を食らったら死んでしまうから、と強い声で訴えるスノウに、二人は止めざるを得なかった。
「私を殺すのか?」
静かなリヴィアスの問いに、炎獄は頷いた。
ぜえぜえ、と息も荒々しく、目も今にも気を失いそうなほど力をなくしており、小さな身体にそんな力が残ってないと知りつつもリヴィアスは尋ねたのだが、炎獄はやはり頷いた。
「み、ぞれを、機関に戻すのがあたしの任務・・・ッ。
邪魔するものは全員、排除するんだ!」
「そうか。
でも今日はそんな傷じゃ無理そうだから、帰っとけよ」
「・・・・は?」
例え炎獄に力が残ってなかろうと、自分の身が危ないというのにリヴィアスが余裕そうにそう言った事に全員が呆れた顔をした。
当の本人は笑みを浮かべると、静かに炎獄の身体をどけると、自分の身体を起こし、ぱんぱん、と服の汚れを払った。
「スノウは渡さない。
スノウがほしいって言うなら、傷が治った頃に私を殺しにこい。
いつでも相手してやるから」
「リヴィアス・・・」
スノウが悲痛な声でそう呟く。
すると呆れた顔をしていた炎獄が、小さく、ふっと笑いをもらし、剣を鞘に収めた。