ORANGE SNOW

「え・・・」

あまりに突然の事に数秒、言葉をなくした。
だがすぐに状況を把握し、後ずさった。

「だ、誰・・・誰だ・・・・・ッ!」

魔法の詠唱の言葉は聞こえなかった。
考えられる事は、ただ一つ。


"暁の能力者の力"。


いつまでたっても消えない水に魔法の力がないとすれば、それしか考えられない。

「・・・し、んにゅ、う、しゃ」

と、酷く幼い少女の声が、後ろから響き、急いで振り向いた。
そこにはぼろぼろの服に赤いスカートを纏った、ほんの5歳くらいの背丈の少女が酷く醜く笑った仮面をつけて、リヴィアスに顔を向けていた。

少女は手をひょい、と上に軽くあげる。

すると、じわっとしみる感触がし、足元を見ると水たまりができていた。
つるり、とすべり、リヴィアスは床に手をつくように座り込んでしまった。

「しま・・・ッ!」

「さ、よう、な・・・ら」

少女は、手を振り下ろした。



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