ORANGE SNOW
つまりは舞踏会という名のオークションが夕方開かれて。
自分はその護衛として呼ばれて―、否、これは護衛ではないとセルリアはさくらの次の言葉で確信する。

「なんだっけな、今日は若い女の子が奴隷として取引されるとかって情報もあるけど」


予感は的中する。

自分は少女の護衛ではなく、少女が「売られる」まで暴れないようの見張りとして呼ばれて。
そして少女は、

あの依頼主の公爵―父親に売られる。

「そう、ありがと」

きるね、と呟き機械を切ると少女のそばに膝をつく。
少女はセルリアが近寄ってきたのが嬉しいのか、その腰に抱きつく。

「ねえ」

そんな少女の頭を撫でながら、セルリアは微笑み話しかける。

「名前は?」

そう聞かれた少女は初めて嬉しそうに笑みを浮かべ、セルリアを見た。

「きら!
月城きら!」




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