ORANGE SNOW
―…
そのあと暫く遊んであげていたが、やがて疲れたのか、眠ってしまった少女―きらをベッドに寝かせるとセルリアは部屋のすみで膝を抱えた。
鉄格子の窓を見ると既に日が傾き始めていた。
この子がもうすぐ売られるという真意が見えたとは言え、これは依頼だ。
破る事は許されない。
「(ああ…。
この子もあたしみたいに…)」
生き地獄を見るのだろうか、と呟く。
セルリアは5歳までは両親の元で育ったが、働けるようになるとすぐ商人の元へ売り飛ばされていた。
親からは毎日虐待を受け、皮肉をこめて冷たい化身「セルシウス」、「セルシウス・リリアスレット」、と名づけられた。
長い為商人にセルリアと言われ、他の奴隷と共に暴力を奮われていた。
それに耐えきれず、脱走して教会に助けを求めたのだった。
状況は違えど、セルリアと月城は似ていた。
故に感情移入し、思ってはいけない事―依頼を破棄してこの子を助ける、という事を考えてしまう。
そんな事したらプリムロウズの信用は下がるだろうし、リヴィアスには怒鳴られるだろう。