ORANGE SNOW
「な…ッ」
やはり無詠唱でそれをやってのけた少女に、舌打ちをしつつその炎を一つ一つ避けた。
それを見たさくらが、蓮華を抱き締めながらありえない、と呟いた。
「無詠唱で精霊の力を借りるなんて…そんな馬鹿な」
「ありえないけど目の前で起こってんだから仕方ないだろ」
二人が焦っている内に少女が手を前に掲げ、そこに魔方陣が現れ輝き始める。
リヴィアスは対抗するように早口で詠唱を始めた。
「我が手に宿りし炎よ、今剣となりて…」
「オソイ」
しかしその早口も空しく、少女が余裕そうに言うと魔法陣から氷の刃が無数現れ、リヴィアスではなく―さくらと蓮華に襲いかかった。