ORANGE SNOW
魔法と呼べない不思議な力は、他にも持ってる存在がいた。
きら、だ。
傀儡と自分で呼び、人形を生み出し自由気ままに操る、その力。
その力と、蓮華の力は同じ類の『魔法ではない力』ではないか。
それが何なのかはわからないが、もしかしたらこの少女が詠唱せずに魔法を繰り出すのも、その力ではないのだろうか。

リヴィアスは戸惑い、考えを巡らせていると、さくらが、静かに、小さく動くとゆっくり起き上がった。
はっとし見ると、静かに少女を見据え、嗚咽をあげている蓮華を抱き締め直しながら、弱々しいながらもはっきりこう言い放った。

「生きてちゃいけない存在なんてない。
貴女は寂しい人だね。
寂しいと死んじゃう、と思い込んでる、白くて赤い、小さなうさぎみたい。
思い込んでるから、寂しいって思うのにね」

「―――…っ」

頭を抑えていた少女が顔を上げ、二人に襲いかかろうとしたが五線が再びりーん、と響き、びくっと身体を震わせ地面に倒れこんだ。
同時、ビキッとした音が響き、少女の胸に光る宝石にヒビが入ったのが見えた。

「リヴィ…」

蓮華もそれを見たのか、小さな声でリヴィアスを呼んだ。
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