first Valentine
翌朝、いつも以上に早く目が覚めたフミは平静を装うように普段通りの家事を済ますと、開店時間になるかならないうちに近所の花屋に出かけた。
帰宅した彼女の手には一対の美しい仏花。
フミは昨夜と同様、胸を高鳴らせて台所に立っている。
目の前には昨夜初めて自身の手で作り上げた四角い生チョコが並んだ皿。
彼女はそれを愛おしそうに見つめると、茶の間に戻り昨夜かけておいた薄紫の着物を手に取った。
数年着ていなかったとは思えないような慣れた手振りで、それを纏っていく。
きゅっと帯を締めると、曲がりかけた背筋がピンと伸びた。
少し大きな巾着袋に線香とロウソクを詰め込み、彼女は再びチョコレートの並んだ皿の元まで歩いていく。
少々思案した後、彼女は半紙を取り出すと、チョコレートを6つそれに包んだ。
彼女ははじめ沙織が持っていたような可愛らしい箱を胸に思い浮かべたようだが、そのようなものは彼女の家にはなく、それがどこに売っているのかも彼女にはわからなかった。
また、自分がそれを買い求めることは彼女自身恥ずかしく思えたのだ。
愛おしい想いの詰まった小さな包みも、彼女の巾着袋の中に収められた。
帰宅した彼女の手には一対の美しい仏花。
フミは昨夜と同様、胸を高鳴らせて台所に立っている。
目の前には昨夜初めて自身の手で作り上げた四角い生チョコが並んだ皿。
彼女はそれを愛おしそうに見つめると、茶の間に戻り昨夜かけておいた薄紫の着物を手に取った。
数年着ていなかったとは思えないような慣れた手振りで、それを纏っていく。
きゅっと帯を締めると、曲がりかけた背筋がピンと伸びた。
少し大きな巾着袋に線香とロウソクを詰め込み、彼女は再びチョコレートの並んだ皿の元まで歩いていく。
少々思案した後、彼女は半紙を取り出すと、チョコレートを6つそれに包んだ。
彼女ははじめ沙織が持っていたような可愛らしい箱を胸に思い浮かべたようだが、そのようなものは彼女の家にはなく、それがどこに売っているのかも彼女にはわからなかった。
また、自分がそれを買い求めることは彼女自身恥ずかしく思えたのだ。
愛おしい想いの詰まった小さな包みも、彼女の巾着袋の中に収められた。