不器用恋愛
ーーー


「また来たんだ?」

薄暗い間接照明に趣味の良いインテリア。時間を忘れるこのショットバーがあたしは好きで、週に何度も通う。


呆れた様にテルと呼ばれる若い従業員はあたしを眺めた。


「客に失礼でしょ?」


あたしは口元だけ笑いながら、テルを小突く。


「目笑ってないよ、蒼さん」


殴られた場所をさすりながら、膨れたテルはドアにcloseの看板を出した。


「え?いいの?」


「んっ。大事なお客様だし?」


そう笑って答えたのは、マスターの加地さん。



蒼、あたしの名前と同じ響きの青いカクテルを目の前に出して、


「付き合うよ」


なんて見惚れる笑顔。

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