不器用恋愛


「今日は啓吾くんは?」


加地さんはあたしのペースが早い理由を知っていてその疑問をぶつける。


「知らない。あの色情魔」


タバコの煙を吸い込みながら、ぼやける感覚が気持ちいい。


加地さんはククッと笑うと新しいカクテルを作ってくれる。



「あ、そうそう。この間啓吾くん、来てたよ」



だから、その名前はもういい。そう言おうとしたけど、何故かあたしは話の続きを聞きたくなった。


「…誰と?」


こんな事いつも聞かない。


だってあの馬鹿男が誰と来ようが関係ないし。



だから今日は変だ。



< 11 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop