不器用恋愛
「今日は啓吾くんは?」
加地さんはあたしのペースが早い理由を知っていてその疑問をぶつける。
「知らない。あの色情魔」
タバコの煙を吸い込みながら、ぼやける感覚が気持ちいい。
加地さんはククッと笑うと新しいカクテルを作ってくれる。
「あ、そうそう。この間啓吾くん、来てたよ」
だから、その名前はもういい。そう言おうとしたけど、何故かあたしは話の続きを聞きたくなった。
「…誰と?」
こんな事いつも聞かない。
だってあの馬鹿男が誰と来ようが関係ないし。
だから今日は変だ。