不器用恋愛
別に、啓吾が彼女に興味がある訳じゃないんだろうとは思う。いや、どうだろ。啓吾が考えてる事なんて、さっぱりわからない。
バーを出る時にマスターが苦笑して「また来て」とあたしを送る。
軽い付き合い。慣れた光景。
小さなバーの中には客の溜め息とヒソヒソ話。あたしを哀れんでいるのか、それとも彼女みたいに行動を起こせば良かったと思っているのか。
全く酔ってない体に夜風は寒い。
飲み直そ。
いつも、そう。
啓吾みたいな男と一緒にいるのは大変だ。ただの友人関係でも外からみれば男と女で、きっと不釣合いなんだろう。
そんな事分かってるし、それがなんだと思うけど、今日はなんとなく、変で。
いつもと変わらないのにいつもと違うとはっきり言えるこの不可解な違和感が心地悪い。