妖精と彼
「倉本くーん」
クラスの入り口近くにいた女子が、俺の名を呼んだ。
「………?」
…俺?
自分の顔を指差すと、俺を呼んだ女子はコクリと頷いた。
状況がよく分からず、反応のない俺を見て、和と博貴が俺の背中をグイグイと押す。
「愛!呼ばれてんぞ、早く行けって!」
「あ…あぁ。」
何故呼ばれたのか分からないまま、あまり乗り気ではないものの……
俺はクラスの入り口まで歩いていった。
入り口のドアのすぐそばに、さっき俺を呼んだ女子が立っていた。
俺は、その子に呼んだ理由を聞こうとして…あることに気付いた。
もう一人、入り口の外側に誰かいる。
俺がそれを確認したのを見て、俺を呼んだ子は口を開いた。
「私が倉本くんに用があるんじゃなくって……お客さん。」
彼女はそう言って、尋ね人を指さす。
そう言われて、俺は改めて入り口の外側に立っている人物を見た。
見覚えがあるような、ないような…
背が小さくて、可愛らしい女の子だ。
彼女は、俺の視線に肩をビクッと震わせたものの……意を決したように話し出した。
「あ…あの!私、倉本くんに、 話があるんだけど!」
俺は、彼女に誘導されるがままに中庭へと向かった。