嘘つきより愛を込めて~side Tachibana~
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昨夜は結局、気づかれないようにエリカ達のあとを追い、車があるのにマンションまで歩いて帰る羽目になった。
あんな子供と女が二人だけで夜道を歩くなんて、無用心にも程がある。
出来れば車で送ってやりたかったが、エリカに拒否されることは、なんとなく目に見えていた。
次の日わざわざ車を取りにビルまで戻ってきた俺は、駐車場に残された新車を苦々しい思いで見つめる。
せっかく買った車は、どうやら役にたちそうもない。
(…いっそのこと、俺も歩きで通うか…)
エリカに気づかれずに帰り道の安全を守る方法なんて、もう、それ以外に思いつかなかった。
沈んだ気持ちでアクセルを踏み込んで、歩いて来た道を再び戻っていく。
エリカは今日休みで、店にはいない。
今頃寧々と二人で、一体何をして過ごしているんだろう。
(会いたい…)
再会を果たしてからというもの、俺の頭の中は常にエリカのことでいっぱいだった。
信号待ちでぼーっと前を見つめていると、見知った顔が横断歩道を横切っていく。
「あれ…相沢…?」
なぜか渡りきらずに立ち止まった相沢が、もと来た道を逆走していく。
それを視線で追っていた俺の目に、スマホを片手に表情を歪める彼女の姿が飛び込んでいた。