嘘つきより愛を込めて~side Tachibana~

「何か…トラブルでもあったのか?」

瞬時にそう判断した俺はハンドルを切って、相沢がいる場所の近くに車を横付けする。

「相沢!」

「…え…橘マネージャー!」

パワーウインドウを全開にして呼びかければ、相沢ははっとしながらこちらを振り返っていた。

「お前今日確か遅番だよな。何かあったのか?」

「エリカが…」

その名前を聞いた瞬間目つきの変わった俺を、相沢がしまったという表情で見返してくる。

「エリ…結城がどうかしたのか!?」

「いや…あの…えーと…」

「教えてくれないか。相沢」

昨日の強気な態度とは打って変わって、相沢の表情は落ち着きがなく動揺している。

しつこく食い下がろうとする俺に早々に根負けして、“あー、ごめんエリカ。諦めろ”などと小さく吐き捨てる声が聞こえてきた。

「今エリカから…風邪ひいたって連絡が来て…」

「それで?」

「どうやら動けないみたいですね」

「……!」

その瞬間、倒れて寝込んでいるエリカと何もできずに泣いている寧々の様子が、頭の中に浮かんでくる。

「わかった。相沢はこのまま出勤しろ」

「あの…まさか」

「俺が行く」

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