嘘つきより愛を込めて~side Tachibana~
はっきりとそう言い切った俺のことを、相沢は白い目で見つめてくる。
「…ですよね。でも、エリカは嫌がると思います」
「お前がいなかったら売り場が回らなくなるだろ。俺は隣に住んでるし、病院に移動が必要なら車もある。いいか。…これは上司命令だ」
「職権乱用ですね」
「…行かせてくれ」
俺はエリカにも寧々にも、何もしてやれてないんだ。
せめてこんな時ぐらいは…そばにいてやりたい。
懇願する俺をなにやら楽しそうに見つめたかと思うと、意外にも相沢はすぐに折れてくれた。
「どうぞ。エリカの部屋の合鍵です。…あ、ちゃんと返してくださいね」
「ありがとう、相沢」
「あの家、今食料ないと思うので、途中で何か買っていってあげてください。あとくれぐれも、発情して病人を襲ったりしないでくださいよ。あの家には…子供がいるんですから」
「…?何を言ってる。そんなの当たり前だろ」
「…なーんか橘マネージャーって、エリカに聞いていた感じとは大分イメージが違いますね。まぁいいです。早く行ってあげてください」
「ああ」
鍵を受け取ってアクセルを踏み込み、車を急発進させる。
どうやら相沢は定期的にエリカのうちに足を運んで、食事の世話をしているらしい。
彼女に言われた通り、俺は途中のスーパーでありったけの食料を買い込む。
あとは可能な限りの速さで、俺はエリカの住む隣の部屋へと足を走らせていた。