嘘つきより愛を込めて~side Tachibana~
鍵を回して中に入った俺は、首を動かして部屋の様子を確認する。
「………」
リビングに入って最初目に付いたのは、ソファーの上に積み重なった服の山。
なんとなく黒いレースのブラが目に入って、俺は慌ててそれから目を逸らす。
部屋中はおもちゃで散らかっていて、ローテーブルの上には飲みかけの缶ビールがいくつか転がっていた。
「…あれー?」
ちょこちょこと俺のそばにやって来た寧々は、つぶらな瞳をくりくりと揺らしながら俺を見て首を傾げている。
「ママは?」
「あっちー!」
買ってきたものをとりあえず置いて、寧々の指さした部屋の方へと足を向けていた。
(音がしないけど、寝てるのか…?)
恐る恐る扉を開けて、中を覗き込む。
白で統一された部屋の真ん中に、シングルサイズのベッドが置いてある。
エリカは中途半端に起き上がり、下を向きながら、ベッドから降りようとしていた。
「美月~…っ」
エリカはまだ、俺が来たことには気づいていない。
「ごめん、私熱あってもう動けそうもないんだわ…」
甘えるようにすがって伸ばされた手を、俺は思わずとりそのまま引き寄せてしまった。
「……」
懐かしいエリカの匂いに、胸が疼く。
目の前の身体を抱きしめたいと、本能が訴えていた。
「…無理しなくていい」