嘘つきより愛を込めて~side Tachibana~
触れているところから伝わってくる、熱の高さ。
色白なせいか、顔の赤みが際立って見える。
弾かれるように顔を上げたエリカは、大きな目を丸く見開いたまま固まっていた。
「そんなんじゃ風邪ひくの当たり前だろ」
距離が近いせいか、どうしてもキャミソールから覗く胸元に目がいってしまう。
すると俺の言葉に憤慨したエリカに“変態”と叫ばれてしまい、支えていた腕を思いきり振り払われてしまった。
「…なんなの、なんでうちにいるの?ってかストーカー?」
「誰がストーカーだ。あんなもんと一緒にするな」
二年前の奈良橋の記憶が蘇り、つい口調が強くなってしまう。
「俺が相沢の代わりに来た。本人にもちゃんと了承は得ている」
そう言って諭してもエリカは聞こうとせず、今にも泣きそうな表情で俺を拒んでいた。
「…いいから…なにもしないで帰って」
…そこまで、俺のことが嫌いなのかよ。
相沢から言われるよりも、エリカにはっきりと態度で示される方が、何倍も心が痛くて苦しくなる。
「意地張ってないで、早く準備しろ。…母親が元気でなかったら、子供が可哀想だ」
ここで引き下がらず、寧々を引き合いに出したのは、正しかったのかもしれない。
ずっと意地を張っていたエリカの表情が、その時少しだけ揺らいでいた。
「…ねぇ」
「なんだ」
「私のことよりも…先に寧々のこと…お願い」