嘘つきより愛を込めて~side Tachibana~

触れているところから伝わってくる、熱の高さ。

色白なせいか、顔の赤みが際立って見える。

弾かれるように顔を上げたエリカは、大きな目を丸く見開いたまま固まっていた。

「そんなんじゃ風邪ひくの当たり前だろ」

距離が近いせいか、どうしてもキャミソールから覗く胸元に目がいってしまう。

すると俺の言葉に憤慨したエリカに“変態”と叫ばれてしまい、支えていた腕を思いきり振り払われてしまった。

「…なんなの、なんでうちにいるの?ってかストーカー?」

「誰がストーカーだ。あんなもんと一緒にするな」

二年前の奈良橋の記憶が蘇り、つい口調が強くなってしまう。

「俺が相沢の代わりに来た。本人にもちゃんと了承は得ている」

そう言って諭してもエリカは聞こうとせず、今にも泣きそうな表情で俺を拒んでいた。

「…いいから…なにもしないで帰って」

…そこまで、俺のことが嫌いなのかよ。

相沢から言われるよりも、エリカにはっきりと態度で示される方が、何倍も心が痛くて苦しくなる。

「意地張ってないで、早く準備しろ。…母親が元気でなかったら、子供が可哀想だ」

ここで引き下がらず、寧々を引き合いに出したのは、正しかったのかもしれない。

ずっと意地を張っていたエリカの表情が、その時少しだけ揺らいでいた。

「…ねぇ」

「なんだ」

「私のことよりも…先に寧々のこと…お願い」

< 109 / 259 >

この作品をシェア

pagetop