嘘つきより愛を込めて~side Tachibana~
「…お前のそれ、懐かしいな。ちょっとクルわ」
てっきり、覚えてないと突っぱねられると思ったのに。
内心動揺しながら照れ隠しでからかったら、エリカの顔がますます赤く染まってしまった。
その初々しい反応に、胸が高鳴る。
エリカは俺以外の男を知らないままなのかと、そんな、淡い期待が胸に広がっていく。
「顔色は良くなったみたいだな。…でも一応医者にちゃんと看てもらった方がいい」
ゆっくり眠れたようだし、エリカはなんとか自分の力で歩けるぐらいまで回復している。
着替えを終えて出てきたエリカは、リビングがキレイになっていることにかなり驚いていた。
汚なかったことを気にしているみたいだけど、子供がいる家はみんなそんなもんだろ。
俺の実家だってどんなに掃除しても、甥っ子たちが一時間も遊べば、部屋中がめちゃくちゃになってしまうんだから。
「お前意外と不器用だもんなー。まぁいいんじゃねぇの欠点のひとつくらいあったって」
気にしてほしくなくてそう声をかければ、エリカの顔が一段と赤くなったような気がする。
…もしかして、また熱が上がってきたのか?
「おい大丈夫か?…駐車場まで抱えて運んでやってもいいぞ」
「…じ、自分で歩けるからっ!」
ふらつきながらも自分で歩こうとするエリカを、俺は寧々と手を繋ぎつつハラハラとその様子を見守っていた。