嘘つきより愛を込めて~side Tachibana~

「…これ…今日のお礼…」

あれから病院で点滴を打ってもらって大分回復したエリカは、帰りの車の中で俺に向かってお札を突き出してくる。

「いらねぇよ。上司が部下に金出させたりすると思ってんのか?」

「でも…」

エリカから金なんて、冗談でも受け取りたくない。

少なくとも俺は、金をもらうために、エリカの看病や寧々の相手をしたわけじゃない。

「お前さえよければ、たまに寧々の遊び相手になってやりたい。俺にお礼したいって言うなら、了承してくれ」

俺がそういえば、エリカは複雑な表情を浮かべて黙り込んでしまう。

エリカは人に借りを作ったりするのが、大嫌いな人間だ。

断れないと分かっててそんな提案をする俺は、相当狡い。

「…わかりました」

「寧々、また遊びにくるからな」

「わーいっ」

これで寧々だけじゃなく、エリカに会う口実が出来た。

もっともっと、近づきたい。

「…ありがとうございます。今日は大変助かりました」

別れ際になってしおらしくお礼を言ってきたエリカを、俺は穴が開くほどじっと見つめる。

素直なこいつは、俺の理性を簡単に破壊してしまう程可愛い。

さっきは、触ろうとしただけで拒否されたのに。

俺はそんな事も頭の隅に追いやって、突発的な衝動を抑えることができなかった。

「…俺に触られても平気か?」

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