嘘つきより愛を込めて~side Tachibana~
「……ほんとごめんね」
「……」
ぽつりとそれだけを言い残して、私はベランダの窓を閉める。
冷蔵庫からビールを取り出しててラグの上に腰を下ろすと、不機嫌顔の翔太がいつの間にか私のそばまでやって来ていた。
「……翔太も飲む?」
「後でもらう」
どかっと私の後ろに腰を下ろした翔太が、私のお腹の辺りに手を伸ばして、後ろからぎゅっと抱きついてくる。
翔太に比べれば大分小さな私の身体は、すっぽりと腕の中に覆われてしまった。
「翔太」
「……なんだよ」
「翔太って、こんなに甘えてくる人だったんだね」
「惚れた女に甘えるのは当然だろ」
「二年前は? よく、私のことホテルに置き去りにしてたよね。惚れてなかったんだ?」
つい意地悪でそんな事を言えば、翔太が後ろでぐっと息を飲む。
聞こえてきた小さなため息が、私の首筋をくすぐっていた。
「……悪かった。その……今日エリカに同じことされて、思い知った」
「ううん。別にいいよ」
寂しくなかったと言ったら、嘘になる。
でもあの頃は、私も捨てられまいと必死だったから。
ひろくんのことを思い悩んでいた翔太の気持ちに、気づいてあげられなかった。
「好きすぎて、お前のことどう扱っていいのかわからなかった。……五つも下の女にこんなことして拒否られたら、俺は絶対に立ち直れない」