嘘つきより愛を込めて~side Tachibana~

仙台に来たことは、後悔なんかしていない。

それでも一瞬だけ自分の立場を忘れて、今すぐ東京に、翔太の元に行きたいと思ってしまった。

だってそばにいてあげることぐらいしか、翔太への償い方がわからない。

でも今のこの道を選んだのは、間違いなく自分自身で。

……こんな中途半端な気持ちじゃダメだ。

何もかも投げ出してついていくことなんて、今の私に出来る筈がない。


「はー……もう……お前は……」

「え?……ひゃあっ!」


翔太の唇が首筋に触れて、私は小さな声をあげる。

お腹から侵入してきた無骨な掌は、柔らかな膨らみをあっと言う間に覆い尽くしていた。


「……わいい」

「やっ……そこ、……だめっ……」

「エリカが可愛くて、可愛くて……、頭がおかしくなりそうだ」


いきなり真顔でそんなこと言うから、恥ずかしすぎて頭から湯気が出そうになってしまう。

昔は私のことどう思ってるのかなんて、ほとんど言ってくれたことなかったのに。

今の翔太は素直で甘えん坊で。

……まさか鬼のように怖かった上司のことを、可愛いと思う日が来るなんて思いもしなかった。

私の身体を横抱きにした翔太は、無言で寝室の方に進んでいく。

そっとシーツの上に沈められて、覆いかぶさってくる黒い影。

灯されたダウンライトに浮かび上がった翔太は、もどかしげにネクタイを緩めながら、私をじっと見下ろしていた。


「……幻滅したか?」

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