隣に座っていいですか?これはまた小さな別のお話
30分ほどして
娘と夫が帰って来た。
「ただいまぁーいくちゃんママ!おみやげだよー」
桜ちゃんは元気に家に入り
小さな箱を差し出した。
「おかえり」
どうしてだろう。スッと笑顔がでない。
桜ちゃんを見ても笑顔が出ないなんて、相当ダメージ受けたかな私。
「ショコラのケーキだよ。となりのおばあちゃんのぶんもあるよー」
きっと私が喜ぶと思って、元気で箱を差し出すけれど、私の笑顔が出ないから桜ちゃんは不思議そうな顔をする。
「いくちゃんママどうしたの?」
子供は敏感だ。
桜ちゃんは特に敏感だ。
「何でもないよ。そうだね。となりのおばあちゃんもショコラのケーキ好きだもんね」
どうしてだろう
桜ちゃんと壁を作ってしまいそう。
一歩引いてる自分がいる。
「いくちゃんママ?」
小さな丸い目が心配してる。
「おばあちゃん喜ぶよ。桜ちゃんが一緒に食べてあげたら、もっと喜ぶよ」
「いくちゃんママもいっしょにいこう」
「ごめんね。お友達から電話が来るお約束があるの。先にお約束しちゃったんだ。ごめんね。ひとつ残しておいてね」
そうごまかして
桜ちゃんを隣に行かせる私。
ごめんね桜ちゃん。
どうしたんだろ私。
すぐ立ち直るから。ごめんね。
桜ちゃんが隣に行くと
彼が上着を脱いで私の傍にやってきた。