隣に座っていいですか?これはまた小さな別のお話
かわいそう?桜ちゃんが?
「桜は同じ年頃の子供より、敏感で繊細なの」
杏奈さんは私から目線を外し、退屈そうにそう言った。
「まだ何もわからない頃に大好きな母親を亡くし、父親とふたりきりになったと思ったら、住み慣れた家を引っ越して幼稚園も変わり、環境も変わり、変な女が突然自分たちの暮らしに入り込む」
「それって私の事ですか?」
「小さい桜には選択権がないのよ。大好きなお父さんが勝手に決めた選択に従うしかないの。どんなにその女が邪魔でも、逆らったら居場所がなくなるから、ニコニコ笑顔で過ごさなければいけないの」
「桜ちゃんが、無理をしてるって事ですか?」
ムカムカと吐き気がしてきた。
「理解できてるじゃない。さっさと出て行きなさいよ。桜がかわいそう。桜は私の事が大好きで、子供の頃から懐いていた。年数が違うのよ」
その勝ち誇ったような顔を見ていたら、手が震えてきた。
追い出そう!
気持ちが変になりそうだ。
すると
その時、桜ちゃんが帰って来た。
「あんなちゃん」
桜ちゃんは大きな声を出し、「桜」と、手を広げた杏奈さんの胸に飛び込む。
その様子が
とてもショックだった。
懐いている。
桜ちゃんは杏奈さんが大好き。