隣に座っていいですか?これはまた小さな別のお話
「かわいそうな桜。あなたの顔色を見て、こんなに小さいのに遠慮してるのよ。気を使ってるのがわからない?あなたの顔色を見て過ごしてるのよ」

その言葉は
心の奥底に深く響いた。

そんな事
考えてもいなかった。

「帰るわ。こんなかわいそうな桜を見ていられない」

桜ちゃんの頭を撫でて
杏奈さんは嵐のように去って行ってしまった。

「いくちゃんママ?」
不安そうに名前を呼ばれ、安心させようと笑顔を見せたいのだけれど、上手く笑顔にならない。

「いくちゃんママ?」
もう一度名前を呼ばれたので

「ごめんね。お腹空いてお返事できなかった。美味しいご飯作ろうかな。今日は桜ちゃんの好きなシチューにしようか?」
頑張って頑張って笑顔を作る。

「うん」

「あ、二階のカーテンしてなかった。桜ちゃん、お願いできるかな?」

「うん。いいよ」

桜ちゃんは元気よく二階の階段を走って行った。

早く早く
桜ちゃんが二階から降りて来る間に

早く私の震えが止まりますように
早くこの息遣いがおさまりますように

涙が早く止まりますように。


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