溶ける温度 - Rebirth -

満さんは経営学部出身だったこともあり、バイヤーとしての力よりは会社を統率する方にその能力を認められていたらしく。
海外出張よりかは会社のコアの部分に携わり、長き渡って事業推進部門に所属していると聞いていた。

一方大志さんは世界中を飛び回る営業部門の一員であるようなので、二人の接点はないかもしれないけれど。

その仕事ぶりを聞くたびに、どこか思い出してしまうのは、まだ傷が癒えていない証拠なのだろう。


「私は明季には前を向いてほしいから。正直なところ、次は全然違う環境にいる人と、大恋愛をしてほしいと思ってるけど」


言いよどんでいるのか、迷っているのか、美弥は少し切なげに言葉を紡いだ。
私の恋愛事情で大泣きさせてしまったことは記憶に新しい。美弥の気持ちは私も十分理解しているし、本当にありがたい意見だと思う。

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