齧り付いて、内出血

「だからなんで、泣くの。」


言われた途端、零れ落ちてきた涙。

しゃくりあげるでもなくぽろぽろと流れ落ちていく。


『知らない。』

「ふーん?ま、いいや。」
「興奮するし。」

『へん、たい…!』

「それはお互いさま、だろ。」

『ふんっ。』


そうだ、しかもどっちかっていうと私のほうが重度。

この人の手を、内出血だらけにしちゃってる。


「いつまで泣いてんの。」


一瞬、困ったように笑った、気がした。

興奮するとか言ってた舌の根も乾かないうちに、どうしてそんな顔をするだろう。


繋がって、動いて…。

隙間なくかぶさってきた、汗ばんだ体の重さ。

愛しい重さ。

…愛しい?


ああそうか、これが、人を愛おしいと思う気持ち。

理性で制御できない、愛おしい気持ちなのか。

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