齧り付いて、内出血



翌朝、先に目が覚めた私はまだ眠ってる久世の右手をしげしげと見つめていた。

白くて骨ばった綺麗な手は私のせいで内出血だらけ。


…いいのだろうか。

彼女、いるのに。

このニヒルな男が指輪をつけようとするほど執着してるってことは、本気の彼女なんでしょ?

本気の――。


「あれ、齧り付いてこない。」

『ええ!』

いつのまにか久世は目を覚ましていた。

おおげさに肩を揺らしてしまった私に構うことなくマイペースに「おはよう」と言う。


『お、おはよ。』

「なに、遠慮?」

『だって、だって、』


何て言えばいいんだろう。

彼女さんに悪いと思って、なんて言い方したら厭味ったらしいし。うーん。

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