齧り付いて、内出血

もうやだ、本当に。

可愛いなんて久世にとって大した意味はないのに、私だけこんなに惑わされてる。

こんな薄っぺらな言葉で赤くなってしまうくらい‘女の子’しちゃってる私なんて、私じゃない。


私じゃ、ない。


「飯、行くか。もう昼?だけど。」

『行く。』

「何食いたい?」

『お寿司。』

「…。」

『目の前で握ってくれるやつ。』

「…。」

『久世。』

「お前なー。」

何か言いたそうに、じ、と私を見つめた後「ま、いいか。」と了承してくれた。


…本当は何だって良かった。

久世にどこかに連れて行ってもらうのなんて初めてだったから、どきどきして。

あんまり照れ臭いもんだからまた不細工な要求をしてしまった。

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