苦恋症候群
別に、世界中の人に好かれたいだなんて、そんな大それたことを思っているわけじゃない。

誰にでも、合う合わないはあるし。私にだって、苦手な人くらいいる。

だけどああやって正面から、誰かに『嫌い』と口にされたのは初めてのことで。

その相手が、最近やたらと関わることが多かった人だったから。

だからこんなに、ショックを受けているのかもしれない。


……それでも。



『あんた、いやだ。……嫌いだ』



彼の冷たい言葉にショックを受けたのは、たしかだけど。

それと同時に、あのとき三木くんが見せた表情のことも、私はぐずぐずと気になっていた。

突き放しているのは自分の方なのに、苦しそうな表情を見せていた三木くん。

そのわけを、直接本人に確かめたいと思っていても……向こうからは徹底して避けられているから、確認のしようがない。


三木くんが本部に異動してくるまでは、今まで私たちはまったく関わりなんてなかった。

その頃に、戻るだけ。なのに割り切れない、自分。

それでもいつか自然と、この距離感に慣れてしまうのだろうか。
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