苦恋症候群
「つーか、イケメンで仕事できるって。それだけでもう俺みたいなフツメン的におもしろくないんだけど」

「あはは。なにそれ」

「だってさあ、別に俺今まで三木と関わりあったことねぇけど、いっつもアイツ冷めた表情してんじゃん。なんでもかんでも涼し~い顔して完璧にこなすの、必死でやってる方からしたら腹立つよなあ」

「……うーん」



なんだかなあ。バリバリ体育会系のヤスには、一見クールなインテリ風の三木くんは、それだけでとっつきにくいタイプなのかもしれない。

短くなったタバコを備え付けの灰皿に押しつけると、ヤスはやたらとキリッとした顔を作る。



「まあ、つまりはただのヒガミだヒガミ。自覚はしている」

「ふはっ、私ヤスのそういう素直なとこいいと思う」

「そりゃどーも」



おどけた表情で肩をすくめるヤスを見ながら、ちょっとだけ思案して。

そしてちょっとだけ迷いながら、私はまた口を開いた。
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