苦恋症候群
「ふ~~ん」
「な、なによ」
「いやー? サトって、三木と仲良いんだなーって」
「……そんなこと、ないよ」
そう、これは本心だ。
仲良し、だなんて。そんなふうに思い上がっていたわけでもないけど、実際向こうは私のことを嫌っていたのだ。
だからこれは、私が勝手に……少しだけ、彼のことをかばっただけのこと。
ただ、それだけのこと。
「うんまあ、でもごめん。相手のこともよく知らないのに、軽率な発言だったよな」
壁に寄りかかっていた身体を起こし、あっさりとヤスが言う。
「三木と話す機会あったら、飲みにでも誘っておいて。俺1回、ちゃんと話してみたかったんだよなあ」
「……ん、わかった」
小さく笑みを浮かべて、私は叶えられない約束をした。
そのままヤスとはそこで別れ、事務部のドアへと足を進める。
自分の非をすぐに認めることができるのは、ヤスの尊敬すべきところだ。
仕事上でミスをしても、ヤスは誰のせいにもしない。そしてすぐにきちんと謝罪ができるから、上司や同僚、そして後輩たちからも慕われている。
……だけど、自分のどこが、相手にあれほどの嫌悪を与えているのかわからなくて。
謝罪のしようもないときは、一体どうすれば、いいんだろう。
『嫌いだ』と言われたあの日も、今日も。
彼に逸らされた視線が、やけに胸を痛めつけた。
「な、なによ」
「いやー? サトって、三木と仲良いんだなーって」
「……そんなこと、ないよ」
そう、これは本心だ。
仲良し、だなんて。そんなふうに思い上がっていたわけでもないけど、実際向こうは私のことを嫌っていたのだ。
だからこれは、私が勝手に……少しだけ、彼のことをかばっただけのこと。
ただ、それだけのこと。
「うんまあ、でもごめん。相手のこともよく知らないのに、軽率な発言だったよな」
壁に寄りかかっていた身体を起こし、あっさりとヤスが言う。
「三木と話す機会あったら、飲みにでも誘っておいて。俺1回、ちゃんと話してみたかったんだよなあ」
「……ん、わかった」
小さく笑みを浮かべて、私は叶えられない約束をした。
そのままヤスとはそこで別れ、事務部のドアへと足を進める。
自分の非をすぐに認めることができるのは、ヤスの尊敬すべきところだ。
仕事上でミスをしても、ヤスは誰のせいにもしない。そしてすぐにきちんと謝罪ができるから、上司や同僚、そして後輩たちからも慕われている。
……だけど、自分のどこが、相手にあれほどの嫌悪を与えているのかわからなくて。
謝罪のしようもないときは、一体どうすれば、いいんだろう。
『嫌いだ』と言われたあの日も、今日も。
彼に逸らされた視線が、やけに胸を痛めつけた。