苦恋症候群
「自分の家のベッドに据え膳が転がってたら、できればいただきたいと思うのが男のサガだと思うんです」

「……ッ?!」



は!? 据え膳!? ……ってそれ私のこと?!?!

な、なに言ってんの三木くんー?!


とっさにベッドから下りようとしたけど、それより先に両手首を掴まれて、勢いのまま押し倒された。

呆然とする私を組み敷いて、また三木くんが笑う。

その色っぽい微笑みに、かあっと顔が熱くなった。



「ああ、うん。ブラウスに下着だけっていうのも、なかなかそそられますね」

「み、みきくん、冗談は……」

「冗談ではないですね。もう、結構その気です」



普段とは違う、獲物を狙う獣のような目に見つめられて、二日酔いのせいじゃなくくらりと眩暈がした。

両手を頭上でひとまとめにされ、三木くんがブラウスのボタンを外しにかかる。



「ちょ、三木くん……っい、いいの?! 私なんかとして!!」

「俺、セックスに愛とか求めないタイプなんで」

「なっ、」



な、に、を、言、う、か、こ、の、ひ、と、は……!


押さえつける手からなんとか逃れようともがいてみるけど、片手で掴まれただけのそれは驚くほどびくともしない。

そうこうしているうちに、ボタンがすべて外されてブラウスの前がはだけられた。

胸元が直接外気に触れて、私はいよいよ猛烈に焦る。
< 91 / 355 >

この作品をシェア

pagetop