まだあなたが好きみたい
すっと心に落ちてくるような響きだった。
あたりまえ。
「東が追ってきたらそれはそれで面倒なことになんだろうが。あの手この手であの眼鏡のことを吹き込んで、その気じゃないお前をかく乱しようとするに決まってる。それか……」
言いかけて、窪川はかすかに眉間にしわを寄せた後、いや、と首を振った。
「とにかく、あの場でおまえをひとりにできるわけないだろ。かっ、勘違いするなよ。おまえじゃなくたって、同じ状況に置かれてる女がいたら俺は今と同じことをしてるんだからな!」
今、遅ればせ、狙い通りの照れ隠しが垣間見えたが、その前の不意打ちが後を引いて、とっさに、対窪川用の生意気娘になりきれなかった。
「ふーん」
それだけ言うのがやっとだった。