氷の卵
次の日もその次の日も、ずっと啓のことを考えて過ごした。


啓はずるい。
ただの友達なのに、優しくしたりして。
私を、期待させて。


別にいいんだ。
啓と近くにいられれば、それで。


でも、幸せな日々は突然終わってしまうと知っているから。
だからどうしても、行かないで、と啓にすがりたくなってしまう。
まだ出会って間もないし、今すぐにいなくなるなんてことはないだろう。

でも、でも。


あの日も突然やってきたじゃない。
あの人と、永遠のお別れをしたあの日も。


幸せが永遠に続くものだと信じていた、あの頃でさえも――
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