おくすりのじかん
「祥子は俺のものだ」


浴衣の間から滑り込ませた指がブラに触れる。


「正也……いい加減にして」


私の知っている正也じゃなくなっていて
荒い息が耳にかかる。


「離して」


「やだ……祥子はずっと俺だけのものだ」


「ぶん殴るよ」


指が無理やり ブラの中に入り込んで来たから
私はその腕を思いっきり噛んだ。


「いてっ!!!」


正也が力を緩めた瞬間に 私はその腕から逃れる。


「ごめん」

正気に戻った正也は 情けなくうなだれた。



「え?何が?」


「え?」
正也が私を見つめる。


「今 何かあった?私は覚えてないから・・・・
寝るね おやすみ」


心臓が飛び出そうだった。
男の力って怖いと思った・・・・・・。


一番安全だと思っていた正也が男に見えた。


体が震える。


誰もいないロビーのソファーに腰かけた。



「凜太郎……助けて……会いたいよ……」

久し振りに 凜太郎を想って 泣いてしまった夜だった。
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