私立聖星魔法学園
「で?恵は何が聞きたいんだっけ?」





全ての荷物を片付け、一息つくとミナに聞かれる






「ミナがさっき言ってた意味について!あたしが考えてるのと違うってどういう意味?」





「んー・・・簡単に言えば、私は『人間』という種族ではなくて『エルフ』という種族ってことかな」






さも当たり前のことを話したようにニッコリ微笑むミナに頭がついていかない






「え・・・えぇ!!?だって『エルフ』って空想上の生き物なんじゃ・・・!?」





「それは恵がいた世界だけよ。こっちの世界では『エルフ』以外にもいろんな種族が暮らしてるんだから」





ほら見て、と自身の綺麗な水色の髪を耳にかけて、その耳を指差す






「耳がとがってるでしょ?これは『エルフ族』の証でもあるのよ。エルフは生まれたときからみんな耳がとがってるのよ」






確かにさっきは髪で隠れてわからなかったが、あらわになったミナの耳は上に向かって細くとがっていた





「まぁこっちに来たばかりだからいろんなことに驚くだろうけど、すぐに馴れるわよ」





詳しいことは授業でやるしね?と優しく笑うミナに心からこの子がルームメイトでよかったと思った






「じゃあさ、ミナはあたしがいた世界には行ったことある?」





「ないわね。正確に言えば『行けない』だけどね」





「なんで行けないの?」





「この世界の生き物はほら・・・あれでしょ?あっちの世界の人には見慣れない生き物ばかりじゃない?だからあっちの世界に行けるのはごく限られた者だけなのよ」






いわれてみればその通りだ





あたしだってなにも知らずに元の世界でこっちの生き物を見たら絶対パニックになる






「へぇーいろいろあるんだねぇ」





「まーね。それはそうと恵の制服は?さっきの荷物のなかには見当たらなかったけど?」






ミナに言われて制服が用意されていないことを思い出す







「やばっ!忘れてた!どーしよあたし制服持ってないんだよ・・・」





「え!?始業式明日よ?制服はないとさすがにマズイわね・・・」





ミナのを借りようかとも思ったがサイズが小さく(何故か胸周りは布が余ったけど)この案はお蔵入り






どうしたものかと2人で悩んでいると












トントン・・・









不意に部屋の扉をノックする音が響いた


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