氷の執事をsweetlyに溶かして
「──で、ここの数式が……」
抵抗むなしく碧に連行され、いつも通りお勉強がスタートした。
夕食が終わってから、自室に戻って勉強するのが決まりなのだが私はやりたくなくて碧の目を盗んでは逃げている。
結局、すぐに見つかっちゃうんだけれど。
今日なんて、5分も経たないうちに……
そんなことを思いながら、私に勉強を教えている碧の横顔を見つめる。
ほんとに、整った綺麗な顔……。
碧は、霧島家の長男。
昔から代々、霧島家の人間は桜川家に仕える家柄なのだ。
私が生まれたとき、碧は5歳。
その頃から、碧は父親の側で執事業を学んでいたらしい。
私の18年の人生は、碧との記憶でいっぱいだ。