KINGDOM―ハートのクイーンの憂鬱―
「車持ってくるから、ここで待ってて」
「ちょ、ちょっと!!」
ひとまず、お会計が終わるまで待って、それが済んだら、彼のシンデレラ計画を謹んで自体しようと思ってたら、彼は私に口を開かせる間もなく、さっさと店を出て行ってしまった。
……お願いだから、私の話を聞いて。
Going my way 過ぎるでしょ、貴方!!
もう背中すら見えない彼に向って、心の中で叫んだところで、彼は立ち止ってくれやしない。
見た目やオーラが王様っぽければ、中身だって王様級だ。
もちろん、賢王的な感じではなく、暴君的な意味合いで。
「あぁ、今すぐ逃げ出したい」
1人彼が車を取ってくるのを待っている最中、ボソリッと呟く。
そして、不意に気がついた。
「って、何も、ここでお利口に待ってる必要なくない!?」
ついつい、彼の勢いに押されて、その場の空気に流されて、普通に待っちゃってたけど、今こそ逃げ出す絶好のチャンスだ。
いや、むしろ今しかない!!
だって、きっと彼が戻ってくれば、また彼のペースに捕まって、今度こそ逃げ出すタイミングを逸してします。
「よし、彼には悪いけど、私はここでおさらばさせてもらおう!!」
グッと拳を握って、一歩踏み出し……掛けて気付いた。
……しまった。
コートとバック、持って行かれた。