Voulez vous du chocolat?
何の前振りもなく、口をついて出てしまった言葉。
でも取り消すつもりはない。
「は……?」
目を見開いて、鞄を肩から落としながら振り返る。
「あたしは、神無月君が好きです」
今度は、目を見てはっきり伝えられた。
最後、っていう言葉は重くのしかかって。
これを逃したら機会はないと思うと、素直に言葉が出てきた。
「……ただ、それ伝えたかっただけ。
あと……できたらチョコレートも貰ってほしい」
「え、ちょっと待っ……。
お、俺に?」
「うん。神無月君」
ラッピングしたてのチョコレートを、まっすぐに差し出す。