Voulez vous du chocolat?
そして、さっきからかろうじて腕にひっかかっていた鞄がどさりと落ちた。
それについて行くように、神無月君もしゃがみこむ。
「ちょ……神無月君!?」
「なんだよそれー……心臓に悪ぃ……」
彼に走り寄ると、チョコレートを持ってたほうの腕をつかまれた。
それはあたしの手よりも熱かった。
「……お前、今日俺がどんな気持ちでチョコレート作るの手伝ってたと思うんだよ……!」
「え……やっぱ、迷惑……?」
「……ははっ。ツンデレな上に、鈍いんだ、鹿野ちゃんって」
俯いて笑う神無月君。
でも腕は握られたままだった。
「……これ、俺にくれるの?」
「えぇ……そのために、作ったんだもの」