Voulez vous du chocolat?
「はァ? こんなん作ろうとしてたの?
無理に決まってんじゃん」
「む……無理って何よ!!!」
油と分離したチョコレートの入ったボウルを指に引っ掛けて、淡々と言う。
「だから鹿野サン不器用なんだから。
いや……不器用って次元超えてるし」
「ぶ……無礼なッ!」
湯銭中のチョコレートをゴムベラでがしゃがしゃとかき混ぜる。
教えてもらえるのは嬉しいけど……こんな一面知られたくなかった。
そもそも……渡す相手に教わるって時点でどうかと思うけど。
「ほらー、これにしなよ。
チョコクランチ。簡単だしさー、初心者向け」
「しょ……初心者向けって! 嫌よ!」
レシピをぱらぱらめくっていた神無月君に言われる。
だって……そんなのじゃ。