Voulez vous du chocolat?
「相手は……毎年、すごい有名なチョコレートをもらうような人よ?
そんな普通のじゃ……駄目なの。見劣りして……手もつけてもらえないわ」
こんなの……本人に言うなんて思わなかった。
「なんでそう思うの?」
「え……?」
でも返ってきたのは、意外な言葉。
「どんなチョコレートだって、一生懸命作ったものの方が、どんな有名なチョコレートより光って見えるけど。
そういうもんじゃなくない? ……バレンタインって」
じっと目を覗き込まれて、正面から言われる。
あまりの至近距離に、かぁぁっと顔が熱くなる。
それに……そんなこと言われるなんて思わなかった。
「それに、そんな湯銭すら出来ない人に無理だし」
「何よ! 本当神無月君って無礼!」
嬉しいな、なんて思ったことなんて、死んでも言わないんだから。