イケメン王子の花メイド
*おまけ
我慢の限界
棗様と晴れて想いが通じ、私は棗様の婚約者となりました。
私はメイドとして仕事を続けながら、前川さんに婚約者としての様々なレッスンをして頂く毎日を送っています。
「おい」
不意に聞こえたその声にはっとする。
振り返ると、なぜか不機嫌に顔を歪めた棗様が立っておられた。
「な、なんでしょう?」
「どこに行く」
「えっと、響子様に呼ばれておりまして」
「……またか」
はぁ、と大きな溜息を漏らす棗様はなんだか呆れたご様子で。
私は頭にはてなマークを浮かべて首を傾げる。
「どうかなさいました?」
「……いや、いい。行ってこい。あの人は遅れると後がうるさいしな」
「……?はい、では行って参ります……?」
不満気な表情で棗様は歩き出してしまう。
……どうしたんだろう棗様。
私、何かしたかな。
って言っても、最近あまり棗様と接する時間が多くないから……心当たりはないんだけどなぁ。
はっ。
早く行かなきゃ、響子様に叱られてしまう!
私は急ぎ足で響子様のお部屋へ向かい出した。