数学的彼女×哲学的彼氏


十幻くんの薄くて紅い唇を舐める。

十幻くんが、私の舌を噛んだ。

離れようとした時には、彼の腕の中。


「林檎をたべた、彼の心情はどんなだったのかな。そして、たべられた彼女も」

がり、とまた舌を噛まれた。
容赦無い。失敗した。

「…んん」

今度はしっかり彼を押したつもりなのに、ぴくりとも動かない。

彼の切れ長な目が、私を捉えて離さない。

「…いひゃい」

そう言うと、満足そうに彼は舌を解放する。


「…ねぇるめいくん、ほんとうは僕のことが好きでたまらないんだろう?」

得意気な十幻くんの言葉に言い返せない。

「この感情は私の方程式じゃあ解けない」

満足そうに笑う。

「こんな行為は生物学上必要ないのだけど、何故か僕は君を求めているようだ」

知ってるよ、そんなこと。

はじめて会った時から、珍しい私に夢中だったんでしょう?


十幻くんは私の舌を舐める。

私は優しいから、彼の舌を噛んでやり返す、なんて事はしない。


「こんな行為は生物学上必要ないのだけど、僕らには必要のようだ」

「そうね。私の計算上にもないし、この感情をxに置き換える事はできないもの」

彼の首に 巻き付いた私、あぁ満足。

いいえ、計算上にないと言うのは嘘。

出会った時から、彼を私のものにする方程式は、組まれていたもの。


「ふふ、計算通りよ」


私は彼にキスをする。



< 2 / 2 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:4

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

落雁
kanan+/著

総文字数/193,002

恋愛(ラブコメ)259ページ

表紙を見る
やまねこたち
kanan+/著

総文字数/33,345

その他19ページ

表紙を見る
小悪魔女×芸能人
kanan+/著

総文字数/4,929

恋愛(その他)11ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop