君の命の果てるまで
集会だった。

前の授業が長引いたせいで、私たちは速やかに移動するように言われた。


みんな、走っていく。

次々と追い越していくクラスメイトを見ながら、私は焦りを感じつつ歩いていた。

その時だった。


「おい、そこの生徒!トロトロ歩いてないで走れ!集会はもう始まってるんだぞ!」


その怒鳴り声に、私の中の何かがはじけた。


――どうせ死にたかった。今、私が走って死ねば、この教師のせいになる。


産まれて初めて、私は走った。

階段を駆け下りて、廊下を疾走した。

鳥になった気分だった。

案外、大丈夫かもしれない、そう思った。


しかし、そんな気分も長くは続かなかった。

すぐに息が苦しくなって、心臓が暴れ出す。

きゅう、という痛みに襲われて―――


体育館にたどり着いたときには、私の五感は遮断されていた。

スローモーションのように倒れ込むと、驚いた顔の教師が走ってくる。

そこで、私の記憶は途絶えている。




それなのに、まさか、まさか帰って来るとは―――




もうつらい思いは、十分だと言うのに。
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