ナナイロのキセキ
「・・・ええ、そうですね。

これ以上彼女に手を出されても、困りますから。」

肩を抱く手に力が入ったのがわかる。

私はどうしたらいいのかわからずに、ただその腕のなかにいることしかできない。

「遠距離で、あんまり会ってないんですよね?

仕事忙しいのにかこつけて彼女のこと放っておいたくせに、

他の男の影が見えた途端急に会いに来るとか・・・ズルくないですか?」

関口さんが鋭い視線を向ける。

その言葉を聞いた亮一さんが、唇を噛むように息を飲んだ。

「・・・ええ、仰る通りですね。すごく・・・反省しています。

でも・・・だから、今回でわかったんですよ。

オレにとって彼女が、どれくらい大切なのかって。」


(・・・!)


いつもより淡々とした言い方なのに、亮一さんの想いの熱さが伝わった。

私の胸がドキンと音を立てると、そのまま高く鳴り続けた。

「彼女を手放すつもりはないし、誰にも渡しません。

今まで以上に大切にするつもりです。

だからもう、彼女に手を出すのは止めてください。」

相変わらずの落ち着いた口調。

けれどその言葉には、亮一さんの強い意志が込められているのだと私にはわかる。


(亮一さん・・・。)


私は、胸に当てた手をぐっと握った。
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