ナナイロのキセキ
「私も遠距離してたこと、あったから。」

「え?そうなんですか?」

「うん。まあ、もう昔の話だけどね。」

そう言って笑う店長に、こんなときだけれど、思わず親近感を覚えてしまう。

「大変だと思うけど、まあがんばって。

えーと、彼氏、元お客さんだよね?」

「・・・!」

名前は出てこないけど、見覚えがあるという店長。


(さすが店長、よく覚えてる・・・!)


私は恥ずかしさに拍車がかかる。

「は、はい・・・。すみません・・・。」

「あはは、別に恋愛禁止とかじゃないんだし、謝らなくていいんだけど。

・・・それで、彼氏はいまどこに住んでるの?」

「兵庫です。」

私が答えると、店長は驚いたように動きを止める。

「兵庫?・・・兵庫のどこ?」

「えっと、神戸です。」

「神戸・・・。そう・・・。」

店長はそのまま、何かを考え込むように黙ってしまう。


(・・・なんだろう?)


「ああ、ごめんごめん。そっか、わかった。

まあそういうことだから、とりあえず気を付けてね。」

店長は、はっとしたようにそう言うと、私に仕事に戻るよう促した。

「はい。すみませんでした・・・。」

私は休憩室を後にする。



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