ナナイロのキセキ
電話越しに、亮一さんの笑い声が聞こえる。

「まだ仕事かなって、思ったんです。」

「ああ。今日は少し早くて。さっき家に帰ってきた。」


(22時で早いんだ・・・。)


そんなことを考えてから、私は今日の出来事を話し出す。

店長や先輩たちとのやりとりを伝えると、しばしの沈黙の後、亮一さんはぽつりと呟いた。

「・・・それは・・・・・・。恥ずかしいな・・・。」

声だけでも、かなり動揺しているのがわかる。

照れ隠しに、後ろ髪を触る姿が想像できた。

「・・・もしかしたら、うちの会社の人も横通ってたかもな・・・。」

「・・・ですね。亮一さんの会社も、ほとんど目の前ですもんね。」

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

またもやしばしの沈黙。

二人でいろいろと想像して、お互いに恥ずかしくなった模様。

「なんか、ごめん・・・。オレのせいで恥ずかしい思いさせて。」

「あ、いえ・・・。それはきっと、お互い様です・・・。」

「・・・そんなに、周りが見えなくなるタイプじゃないと思ってたんだけど。」

「それは・・・私もです・・・。」

「ナナといると見えなくなるのかな。ナナのことしか見えてないから。」

「えっ・・・。」

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