ナナイロのキセキ
正座して、テーブルに膝をいれるように座っていると、亮一さんがコーヒーを持ってきてくれた。

「はい。毎度インスタントのコーヒーで悪いけど。」

「いえ。ありがとうございます。」

テーブルに二つのカップを置くと、以前と同じように、亮一さんは私の隣に腰をおろしてあぐらをかいた。

その距離に、私はやっぱりドキドキする。


(同じシチュエーションなのに・・・。私って、全然成長ないのかな。)


黙り込む私をちらりと見ると、後ろ髪をかきながら、亮一さんは口を開く。

「・・・疲れた?結構歩いたもんね。」

気遣うようなやさしい視線。

私はまた、ドキンと胸を鳴らしてしまう。

「あ、いえ・・・。そうですね・・・。でも、意外と足も疲れてないし、大丈夫です。」

「そっか。ならよかった。」

遠慮とかそういうのではなくて、本当に、思っていたより疲れてないなと私は思った。

「・・・亮一さんは?」

「オレは少し。やっぱり、30過ぎてあの坂はきつい。」

異人館街へ行く途中の道を言っているのだろう。

確かにちょっと、きつかったもんね。

「ふふ。じゃあ、きっと若さの違いですね。」

「・・・そうきたか。」

「だって、自分で30過ぎて・・・って言いましたよ?」

「あー・・・そっか。」

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